2010年11月6日土曜日

再送:米FOMC:識者はこうみる

JP

2010年 11月 4日 08:20 JST
 [ニューヨーク 3日 ロイター] 米連邦準備理事会(FRB)は3日発表した連邦公開市場委員会(FOMC)声明で、景気てこ入れに向け、2011年の半ばまでに6000億ドルの国債を追加で買い入れる方針を表明した。

 市場関係者のコメントは以下のとおり。

●一段の透明性で市場予想上回ること狙う

 <LPLフィナンシャルの首席市場ストラテジスト、ジェフ・クライントップ氏>

 国債買い入れの規模や期間、ペースがはっきりとしたことで、一段の透明性を市場に与えることになる。

 問題は、これが十分かどうかということだ。約6カ月間で5000億ドルの買い入れを実施するというのが大方の見方だったことから、今回の決定はそれをやや上回った。

 米連邦準備理事会(FRB)は市場にすでに織り込まれていた5000億ドルを若干超えることを望み、一段の透明性と予想を上回る最大6000億ドルを明示することで、市場の期待を上回ることを狙った。

 また、失望と驚きの差は非常に小幅だったが、市場に織り込まれていた規模を上回り、一段の透明性を示すことで、FRBはこの差を埋め合わせた可能性がある。

 FRBが買い入れ期間に関しあいまいな表現を示していたら、市場では売りが優勢となった可能性がある。FFBが明確な姿勢を示したことは朗報だ。

●量的緩和ではなく既存計画の焼き直し

 <スタイフェル・ニコラウスの市場ストラテジスト、ジョセフ・バティパグリア氏> 

 市場の予想通りだ。ただ、追加買い入れ規模が6000億ドル相当と、8000億─9000億ドル規模でなかったことを指摘したい。これは量的緩和ではなく、すでに発表された計画の焼き直しにすぎない。

 全般的にみて、FRBが基本的に示しているのは、米経済が引き続き過度に弱く雇用創出に至っておらず、デフレリスクが存在することから、債券市場に足を踏み入れ金利を人為的に誘導する状況を作り出すということだ。

 株式市場の当初の反応は限られたが、今回の発表が「衝撃と畏怖」ではなかったため、市場が声明の内容を消化するにつれ、やや落胆を誘うだろう。

 米経済てこ入れに向けた積極的な刺激措置という新たな方向性に踏み出しているとは思わない。中間選挙で共和党が議席を伸ばしたこともあり、われわれは実際のところ景気支援措置の解消に向かっている。

●来年下期の追加措置の可能性に含み残す

 <CRTキャピタル・グループの国債戦略部門責任者、デービッド・アダー氏>

 資産買い入れ総額は、バランスシート維持目的の毎月350億ドルの買い入れを含めると、来年上半期末までに9000億ドルに近づく見通しとなり、規模に関する市場の期待にほぼ沿った格好だ。

 量的緩和の部分は、一般的なコンセンサスの水準を1000億ドル程度上回っている。言うまでもなく、下半期に追加措置がとられる可能性について含みを残した。

●「長期間」の文言変わらず拍子抜け

 <ウエストパックの上級為替ストラテジスト、リチャード・フラヌロビッチ氏> 

 (追加緩和の規模が)大き過ぎるとは思わない。毎月750億ドル(の国債買い入れ)は(予想の)1000億ドル以下だ。

 一部ではFRBが声明の「長期間」の文言を一段と長い期間を示す文言に変えるとの見方もされていたが、変更されなかった。FRBは6月以降、何の変更も経済見通しも示しておらず、やや拍子抜けだ。

●商品市場の支援要因、ドルには不利益

 <投資情報ニュースレター「ガートマン・レター」の発行者、デニス・ガートマン氏> 

 明確な規模と方針を明らかにした米連邦準備理事会(FRB)の透明性に拍手を送りたい。これこそまさに彼らが言うべきことだった。(総額6000億ドルの)規模は考えていたより若干大きかった。

 概して、恐らく商品市場の支援要因になると思う。概して、恐らく金市場の支援要因で、ドルには不利な要因だろう。

 長期的に何かが変わったどうかは分からない。

●余剰資金は海外に流出する可能性も

 <ブレーバースターン証券の投資戦略担当、スコット・ブフタ氏> 

 多くの市場参加者の予想よりもタイミングはやや大胆だったが、全般に、今回の発表は市場の予想に沿った内容。銀行や企業のバランスシートに既に、大量のキャッシュが積み上がっていることを考えると、今回の措置で増えるキャッシュは、米経済に直接再投資されるのではなく、海外、または代替的な資産クラスに向かう可能性がある。

 米連邦準備理事会(FRB)が住宅ローン担保証券(MBS)の買い入れを再開する、との期待感もあったため、米国債に限った今回の措置は目先、エージェンシーMBSに悪影響を及ぼすかもしれない。

●市場に安心感、円安進み日本株にプラス

 2011年半ばまでに6000億ドルの国債を追加的に買い入れるというのは市場予想を若干上回っているほか、追加緩和の可能性も示しており市場に安心感をもたらしている。一方、対ドルで円安が進んでおり、日本株にはプラスとなりそうだ。

 10月米ADP民間雇用者数は前月比4.3万人増と予想を大幅に上回っており、週末の10月米雇用統計が改善すれば、米追加緩和期待の後退でドル安・円高傾向にいったん歯止めがかかるかもしれない。

 ただ米国のデフレ傾向はしばらく続く見通しであり、米連邦準備理事会(FRB)は金融緩和傾向を続けざるを得ないだろう。この点からはドル安・円高圧力が残る可能性がある。

*2番目のコメントについて、見出しと本文の「再投資計画の継続」を「既存計画の焼き直し」と「すでに発表された計画の焼き直し」にそれぞれ修正します。また、コメントを追加して再送します。

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