2010年11月23日火曜日

来年は今割安中国株!~第12次五カ年計画の始まり~

来年は中国の株式が上がるだろう。
第12次5ヵ年計画が始まり、公共投資が活発化するからだ。


以下に第12次5ヵ年計画に関する記事を集めてみた。




対中直接投資、1.5倍に拡大(ダイジェスト)
2010/11/10, , 日本経済新聞 朝刊, 8ページ, , 143文字

 【北京=品田卓】中国国営の新華社によると、中国は、今年が最終年度の第11次5カ年計画中に、海外からの直接投資が4200億ドルに達し、第10次5カ年計画(2001~05年)期間の1・5倍になる見通しだ。この5年で世界4位から2位に浮上し、「世界で最も魅力的な投資先になった」としている。


「習近平氏の中国」世界が注視――外交・安保で保守色も(ニュースの理由)
2010/11/04, , 日本経済新聞 夕刊, 2ページ, 有, 1248文字

 中国の習近平国家副主席が軍の要職である中央軍事委員会副主席に就き、2012年の共産党大会時に胡錦濤総書記の後継者となることが事実上固まった。まずは現政権の基本路線を踏襲する見通しだが、外交安保などでは保守色が強まる可能性もある。
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 習氏の昇格は07年の前回党大会時に政治局常務委員に抜てきされたときからの既定路線。次期最高指導者への“当確”を意味する軍事委副主席には昨年就任するとの観測があったが、「自ら先送りを求めた」(党関係者)との情報もある。
 習氏は党内で幅広い人脈を持つのが強みだ。習仲勲元副首相の長男で「太子党」(高級幹部の子弟)に属するが、陝西省の農村への下放で苦労し、地方で業績を積み上げてきた。
 控えめな人柄で長老や軍関係者の支持もあり、07年の党指導部人事は「直系の李克強氏(現副首相)を上位に推した胡氏らの案を長老グループがひっくり返した」(同)と言われている。
 コンセンサスを重視するタイプで、自らが最高指導者になっても胡氏の影響力が残り、直ちに基本政策を変えることはなさそうだ。習氏が指導部入りした前回の党大会は胡氏らのグループが人事で一定の譲歩をした代わりに、自らの指導理念である「科学的発展観」を党規約に盛り込む“痛み分け”の格好だった。
 科学的発展観は調和のとれた発展を目指す思想で、先に公表した11年からの第12次5カ年計画の草案もこの考え方が下敷きになっている。改革重視と成長重視で多少の綱引きはあるものの、まずは政権にとって最大の懸案である社会の安定に力を注ぐ見通しだ。
 国際協調路線の胡氏らと微妙なニュアンスの違いを指摘されるのが外交安保だ。日中関係筋は「習氏は地方幹部時代からの交流で日本に親近感を持っている」と期待するが、「主権問題などでは絶対に妥協しない民族主義者」(台湾の情報当局)との評価もある。
 昨年2月のメキシコ訪問では「腹がいっぱいの外国人が我々の欠点をあれこれあげつらう」と国際社会を批判。先月の朝鮮戦争60周年の記念行事では「偉大な抗米援朝戦争は平和を守り、侵略に反抗する正義の戦い」と述べ、韓国世論の反発を招いた。
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 中国では最近、人民元や南シナ海の問題などをめぐる米国との摩擦拡大で「社会主義国や伝統的な友好国との関係を重視する保守派が発言力を増している」(党関係者)とされ、展開次第でこの傾向が一段と強まる可能性がある。党内各派への目配りを重んじる習氏は政治改革にも慎重との見方がある。
 改革派の知識人からは「国際協調や民主化の進展は海外留学経験者が多い習氏らの次の世代がトップに躍り出るまで待たなければならない」との声も出ているが、世界で存在感を増す大国にそれだけの猶予が許されるのか。国内外の要請と共産党政権のズレは一段と広がっており、次期指導者は初めから難しい対応を迫られよう。
(編集委員 伊集院敦)
【図・写真】胡主席(中)と習副主席(右隣)は北京市内の中国国防大学の行事に参加した(10月27日)=新華社・共同


中国、新5ヵ年計画、来春までに数値目標、拘束性弱い「参考指標」に。
2010/11/03, , 日本経済新聞 朝刊, 7ページ, , 520文字

 【北京=高橋哲史】中国国家発展改革委員会の張平主任は2日、第12次5カ年計画(2011~15年)の実施に関するガイドラインを来年3月までにまとめる方針を明らかにした。草案段階で示さなかった経済成長率などの数値目標を盛り込むが、拘束性の弱い「参考指標」と位置付ける見通し。計画経済時代の名残である5カ年計画は大きな転機を迎える。
 記者会見した張主任は設定する数値目標について「経済成長率、物価、国民生活の水準、環境保護などを含む」と指摘。年末まで国民の意見を募集し、ガイドラインに反映させる考えを示した。
 中国共産党は10月中旬に開いた中央委員会の全体会議(5中全会)で次期5カ年計画の草案を採択した。関係者を驚かせたのは、これまで5カ年計画の柱だった数値目標が1つも入っていなかったことだ。現在の第11次5カ年計画は草案段階から、1人当たり国内総生産(GDP)を00年の2倍に増やすなどの数値目標を示していた。
 5カ年計画は中央が統制する計画経済の象徴だった。改革開放の時代に入っても計画は残ったが、弊害が指摘され「不要論」もくすぶる。新たな数値目標がすべてガイドラインの中にとどまることで、5カ年計画の「指針化」が一段と進むのは確実だ。


来年は中国株高?(まちかど)
2010/11/03, , 日本経済新聞 朝刊, 16ページ, , 264文字

 来年は中国株高?
 〇…来年の中国株の上昇を予想する見方が早くも出始めた。中国では来年から新しい5カ年計画が始まるが、過去20年を見ると計画の2年目まで上海総合指数が大幅に上昇する傾向がある。これに当てはめると株高は再来年まで続くことになる。
 〇…「人事が入れ替わる党大会が計画2年目の秋にあり、それに向けて各地域で功績を競うことが背景にある」(大和証券キャピタル・マーケッツ)。米国でも、大統領選の前年は経済政策が強化され、戦後の16回すべてで株価が上昇している。短期間で政権が代わり、政策効果が長続きしない日本とは対照的だ。


中国は習近平体制で変わるか(大機小機)
2010/11/02, , 日本経済新聞 朝刊, 19ページ, , 936文字

 中国の習近平国家副主席は現在57歳。中央軍事委員会副主席に就いたことで、2012年秋の第18回共産党大会を経て序列トップの総書記を胡錦濤国家主席から引き継ぐ人事がほぼ固まった。
 習氏は高級幹部の子弟を指す「太子党」の代表格である。保守的な既得権益層を支持母体としているため、民主化など大胆な改革には踏み出さないのではないかとの見方が大勢だが、果たしてそうだろうか。
 習氏が総書記になれば、還暦を迎える13年春の全国人民代表大会(国会に相当)で国家主席になる公算が大きい。
 習氏が2期10年にわたり総書記、国家主席を務めるシナリオが今から透けて見える。
 2年後の中国は国内総生産(GDP)で日本を引き離し、世界第2の経済大国の地位が定着しているだろう。軍事力を含め米国を追い上げていくのが習体制時代となる。
 習体制へ移行する第12次5カ年計画(11~15年)の草案には「海洋権益の保護」が明記され、海軍力を増強する方向だ。尖閣諸島沖での衝突事件でみられたような強硬姿勢が強まるかもしれない。
 中国の政治は軍部をどう掌握するかが要諦(ようてい)である。軍に基盤を持たない胡主席は幹部を将軍に昇格させるなど人事権を駆使して軍を管理してきた。
 〓小平と同じ革命第2世代の習仲勲・元副首相を父に持つ習氏は地方勤務時代から軍部とつながりが深い。夫人の彭麗媛さんは人民解放軍所属の国民的歌手である。軍部が対外的な強硬路線に走らないよう指導し、国際協調への道を歩む可能性もある。
 中国の民主活動家、劉暁波氏へのノーベル平和賞決定は政治改革が進んでいないことを世界にさらけ出した。中国政府は強く反発しているが、一般国民の間ではこれをきっかけに民主化が進展することを期待する声もある。
 人口13億の中国で、インターネット人口は4億を超え、2人に1人がメール機能を持つ携帯電話を持ち歩く時代になった。習体制下では言論統制はますます難しい。
 太子党として党内の長老らにも影響力のある習氏だからこそ、言論・報道の自由など政治改革の歯車を回せるかもしれない。だが、中国共産党は現在の党員が7千万人台と総人口の1割にも満たない。
 習体制が国内で広範な支持を得られるかどうかは予断を許さない。
(ノノイ)


中国、成長率並み所得増、新5ヵ年計画、環境税を導入、海洋権益維持に言及。
2010/10/28, , 日本経済新聞 朝刊, 1ページ, , 1103文字

 【北京=高橋哲史】中国共産党は27日、2011~15年の第12次5カ年計画の草案を公表した。家計の収入や所得などの増加ペースを国内総生産(GDP)の伸び率と同じにする目標を盛り込んだ。環境税の導入や海洋権益の維持にも言及した。消費底上げを通じて内需を拡大し、バランスの取れた成長を目指す。ただ、所得増に向けた賃上げや新税の導入は日本企業を含む中国進出企業への負担増につながりかねない。(関連記事6、7面に)
 18日に閉幕した第17期中央委員会第5回全体会議(5中全会)で採択したもので、国営新華社通信を通じ公表した。最終的な計画は11年3月の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で正式に決定する。
 今回の草案は、従来の5カ年計画が示してきたGDP成長率など具体的な数値目標は一切入っていないのが特徴だ。今年末で期限が切れる現行の5カ年計画にあった「経済建設を中心とする」との文言も削除。高めの経済成長にはこだわらず、環境に配慮し、消費と投資のバランスを取るなど成長の「質」を重視する考えを鮮明にした。
 都市部と農村部の格差が広がり、内政の不安定要因にもなっている国民の収入については「都市住民と農民の収入がまんべんなく速いペースで増えるようにする」と表明し、内政の最重要課題との認識を示した。これまでGDP成長率を下回りがちだった収入の増加ペースを「経済発展と歩調が合うように努力する」との目標を初めて明記した。
 中国の1~9月のGDP成長率は前年同期比で実質10・6%だったのに対し、個人収入の伸び率は農村が同9・7%、都市が7・5%だった。努力目標とはいえ、中国に製造拠点を置く日系など外資系企業が今後、一段の賃上げを迫られるのは必至だ。
 今年に入って賃上げを求める労働争議が全国で相次いだことを踏まえ、「労働争議の処理メカニズムを整備する」との方針も表明した。
 環境対策に関しては、単位GDP当たりの二酸化炭素(CO2)排出量を大幅に減らす考えを盛り込んだ。温暖化ガスの排出に課税する「環境保護税」の導入も明記し、環境対策の強化で持続可能な成長を目指す方針を打ち出した。
 人民元改革をめぐっては「市場の需給に基づく管理変動相場制を改善する」とし、改革を継続する姿勢を強調した。
 外交・国防政策に関しては「海洋の権益維持」を明記したうえで、経済発展と同じ速さで軍事力を増強するとした。
新5ヵ年計画の骨子
○経済発展と歩調が合った家計の収入の増加
○GDPを一定額生み出すのに使うエネルギー消費量を大幅に削減
○環境保護税の徴収開始
○不動産税の改革推進を研究
○労働争議の処理メカニズムを整備
○海洋権益を保護


新5ヵ年計画――「海洋資源の保護」重点、尖閣など強気の姿勢明示。
2010/10/28, , 日本経済新聞 朝刊, 6ページ, , 595文字

 【北京=佐藤賢】中国共産党の新5カ年計画の草案は、海洋戦略にも触れ「海洋の開発、規制、総合管理の能力向上」を打ち出し「我が国の海洋権益を保護する」と明記した。石油や天然ガスなどの海洋資源を合理的に開発・利用し、離島を保護する方針も強調した。
 現在の5カ年計画では「海洋資源の保護」などと短く触れただけだったが、海洋戦略に重点を置く立場を鮮明にした。尖閣諸島問題や東シナ海のガス田開発、南シナ海の南沙(英語名・スプラトリー)、西沙(同パラセル)両諸島の領有権争いなどを巡り、強気で臨む姿勢を明示した格好だ。
 外交政策を巡っては、国際協調を推進する原則を掲げながらも、中国の主権や利益の擁護に力点を置き「我が国の海外の国民と企業の正当な権益を保護する」と指摘。途上国との協力を強化し、途上国の利益を守るとした。中国のイメージ改善を促す広報・文化戦略「パブリックディプロマシー」の強化や、ソフトパワーの向上も盛り込んだ。
 国防政策に関しては、経済発展の速度と歩調を合わせて軍事力を整備する「富国と強軍の統一」の方針を表明。有事の際のヒトやモノの動きを統制する規定を盛り込んだ「国防動員法」の成立を受け、国民を軍の後方支援や社会秩序維持の任務に当たらせる体制を整備する方針を示した。
 教育政策では「中華民族の偉大な復興」を信念とした教育を強化し、愛国や法律順守などの意識を養うことを目標に挙げた。


新5ヵ年計画――戦略産業育成へ支援、ITや新エネ・新素材、技術力底上げ急ぐ。
2010/10/28, , 日本経済新聞 朝刊, 7ページ, , 651文字

 【北京=多部田俊輔】中国共産党は第12次5カ年計画の草案で、IT(情報技術)や新エネルギー車、新素材など7分野を戦略的産業と位置付け、自主開発力の強化を盛り込んだ。現行の5カ年計画でも「自主創新」を掲げて中国企業の競争力強化を後押しし、一部産業では世界大手も誕生した。だが「科学技術の創新能力は弱く、産業構造は非合理的」(同草案)。政府の全面支援で技術力やブランド力の底上げを急ぐ。
 中国企業が世界シェアの上位に食い込む例は増えた。パソコンで聯想集団(レノボグループ)が09年の世界シェア4位を占め、通信設備では華為技術(ファーウェイ)が同2位に駆け上がった。太陽電池で尚徳太陽能電力(サンテックパワー)が同2位、風力発電設備では華鋭風電科技(シノベルウインド)は同3位を占める。
 中国勢は高速鉄道や通信インフラ分野での覇権も目指す。政府は資金支援を強化し、独自の知的財産権を保有しているとも主張する。しかし、高速鉄道では外資企業幹部は「日独の技術がベース」と反論し、通信も米企業が中核技術を握る。
 「中国側は海外から買った技術を改良して自主開発したと主張する場合があり、中国企業と海外企業の間で知的財産権を巡る争いが増えている」。中国の大手法律事務所の弁護士は明かす。海外動向に詳しい中国企業幹部は「政府は地道に中国企業の技術開発を支援すべきだ」と語る。
 草案は生命科学やナノテクノロジーなど新分野での基礎研究強化や、知的財産権戦略にも言及。技術力・開発力の底上げへ総合的な戦略が重要になっている。


新5ヵ年計画の要旨。
2010/10/28, , 日本経済新聞 朝刊, 7ページ, , 818文字

 中国の新5カ年計画草案の要旨は次の通り。
 1、経済発展方式の転換 5カ年計画の制定は科学発展を主題とする。今後の5年の目標は(1)安定した比較的速い経済発展(2)国内総生産(GDP)を一定額生み出すためのエネルギー消費量や二酸化炭素(CO2)排出量の大幅削減(3)経済発展と歩調が合った住民収入の増加(4)顕著な低所得者の収入増加と貧困人口の減少(5)社会の一層の安定
 2、内需拡大戦略 内需、とりわけ消費を拡大。マクロ調整の科学性と予見性を高め、経済(成長率)が大きく上がったり下がったりすることを避ける
 3、農業現代化の推進 農業、農村、農民問題は党の仕事の重点中の重点
 4、現代産業システムの発展と産業の核心的競争力の向上 IT、省エネ・環境保護、新エネルギー、生物、高性能製造設備、新素材、新エネ車を戦略産業に位置付け。海洋発展戦略を制定・実施。海洋の開発、規制、総合管理の能力を向上。合理的に海洋資源を開発・利用し、離島や海洋の生態環境を保護。我が国の海洋権益を保護
 5、都市化の推進 不動産市場の投機需要を抑制し、不動産業の安定した発展を促進
 6、資源節約型社会の建設加速 「(先進国と途上国の)共通だが差異のある原則」を堅持し、気候変動の国際協力に積極的に推し進める
 7、人材強国戦略 教育改革を加速。人材強国を建設
 8、公共サービスシステムの設立 労働争議の処理メカニズムを完備
 9、文化のソフトパワー向上 中華民族の偉大な復興を理想・信念とした教育を強化し、愛国や法律順守に導く
 10、社会主義市場経済体制の完備 環境保護税の徴収開始。不動産税の改革推進を研究。市場の需給に基づく管理変動相場制の完備。預金保険制度の設立
 11、対外開放の水準向上 貿易収支の均衡
 12、計画実現へ奮闘 富国と強軍の統一の実現。我が国の主権、安全、発展利益の保護。途上国との協力強化。海外の公民と企業の正当な権益の保護。公共外交の強化


新5ヵ年計画、中国、内需主導の成長重視、数値目標は盛らず、環境対応や消費に軸足。
2010/10/28, , 日本経済新聞 朝刊, 7ページ, 有, 1720文字

 【北京=品田卓】中国が高成長から成長の質を重視する経済路線に転換し始めた。共産党が27日公表した「第12次5カ年計画(2011~15年)の草案」によると、国内総生産(GDP)伸び率など具体的な数値目標が消え、環境重視や貧富・地域間の格差是正などバランスのとれた成長をめざす姿勢を鮮明にした。消費底上げなど内需拡大や貿易黒字削減も強調。国内の社会不安や国際世論を意識した内容になっている。(1面参照)
 中国の高成長が鈍れば、世界経済にも影響を与える。賃上げ圧力が高まれば進出企業のコスト増につながり、生産拠点の見直しを迫られる。一方、内需が拡大すれば、日本など海外企業にとっては対中輸出の増加が見込めるほか、環境ビジネスの機会も広がる。
 中国が経済の質重視を鮮明にしたのは、高成長だけを追い続けると、様々な問題でバランスを崩し、いずれ経済が行き詰まるとの危機感が強まったためだ。経済成長を持続可能な巡航速度にして、いびつだった経済の構造改革を進める必要があると判断した。
 その柱の一つが「人と自然の調和のとれた発展」だ。環境税の徴収開始やエネルギー効率の大幅改善などを明記した。「都市と農村、地域間、経済と社会のバランスのとれた発展」も柱のひとつで、富の再配分を強化する姿勢を示した。
 消費拡大も持続可能な成長には不可欠。今年1~9月期の輸出額は1兆1346億ドル(約7兆6000億元)で、GDPの3割弱に相当する。輸出依存度を減らし、内需を拡大させることで、国内市場を育成する。そのためにサービス産業や運輸部門などの強化策も示した。
 公共投資など投資依存が高い構造を改革するうえでも国内市場の育成は欠かせない。1~9月期の固定資産投資は19兆2228億元で、GDP比7割もある。
 今年は第11次5カ年計画の最終年。5年前の2005年のGDPは18兆4937億元で、今年はこの2倍になる見通し。だが家計収入の水準はそれに見合うほど上がっていない。しかも、貧富の差を示す指標として使うジニ係数は中国は0・4台後半に拡大。社会が不安定になる警戒ラインの0・4を超え、危険ラインの0・5に近づいている。
 胡錦濤政権はこれまでも「和諧(わかい=調和のとれた)社会」をスローガンに格差対策を進めてきたが、大きな成果には結び付いていない。社会の安定最重視を掲げるなか、格差問題解決が緊急課題になっている。
専門家の見方
労働争議多発など不安
 熊谷亮丸・大和総研チーフエコノミスト 中国は高い経済成長を追求する路線から、環境や格差などにも目配りした持続可能な成長にかじを切りつつあるようだ。成長の原動力も外需から内需に移行していく。地域間格差を埋めて都市化を進めれば、内需主導の成長も期待できる。
 日本企業は中国を組み立て加工の拠点と位置づけてきたが、内需拡大に伴って市場としての役割が高まっていく。食品などの生活必需品を製造する企業の重要性が増すことが予想される。
 人民元改革や国際収支の均衡を目指す方針は国外向けのメッセージという側面がある。中国当局は急激に円高が進んだプラザ合意後の日本経済を十分研究しており、人民元改革にはあくまで漸進主義で臨むだろう。大きなリスクはインフレだ。労働争議の多発など不安要因も出始めている。
中国企業の成長映す
 川西重忠・桜美林大学北東アジア総合研究所所長 家計の収入の増加率を成長率並みに引き上げることを明記したが、数年前から農村の収入増などバランスの取れた成長を目指す動きが徐々に進んでいた。2008年には労働者の権利保護を強化する「労働契約法」が施行、外資への優遇税制も縮小するなど、内需拡大に軸足を移していた。これは未熟だった中国企業が技術、経営の両面で成長してきたことも大きい。こうした流れに今後も変化はなく、中国側の様々な方針に一喜一憂せずに日本企業はブレのない戦略で市場開拓することが重要になる。家計収入の底上げ明記は格差社会の解消を掲げる胡錦濤国家主席が独自性を打ち出したい、という思いもあったのではないか。
【図・写真】中国は「人と自然の調和のとれた発展」を経済の質重視の柱のひとつにした(上海)=ロイター

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