
下期増益見通し 郵船は経常利益3倍
- 2010/11/13付
- 日本経済新聞 朝刊

2011年3月期下期(10年10月~11年3月期)の業績が当初の想定以上に好調で、株価に割安感のある銘柄はどれか。PBR(株価純資産倍率)が1倍未満で、下期の経常利益予想が期初予想を上回る銘柄を、下期の経常増益率の大きい順に並べたところ、海運や化学が上位に入った。
対象は東京証券取引所第1.2部に上場する3月期決算企業(金融除く)で、株式時価総額が200億円以上の会社。PBRが1倍未満で、11日時点の今期業績予想をもとに計算した下期の経常利益見通しが期初計画を上回る企業を選んだ。前年下期の経常損益が赤字の会社などは除いた。
ランキングの上位に目立ったのは、アジア経済の拡大の恩恵を受ける海運、化学など。
1位の日本郵船の経常利益は前年同期比3倍の401億円となる見通し。期初予想の310億円(2.3倍)から増益幅が拡大する。アジアで生産した日用雑貨や機械などの欧米向け出荷が増加。下期のコンテナ船事業の経常損益は83億円の黒字と、前年同期の赤字から大幅に改善する。
PBRは5月以降、0.8~0.95倍程度で推移している。円高による利益目減りなどが懸念されているためだが「アジアと北米を結ぶ航路の市況が需要期にあたる年末も安定していれば、投資を考えたい」(国内金融機関)との声があった。
化学では東京応化工業が16位、三菱ケミカルホールディングスが17位、積水化学工業が20位に入った。
東応化は主力の材料事業で韓国などアジアを中心に半導体向けレジストの販売が好調で、下期の経常利益は44%増の23億円と期初計画から1割超拡大する見通し。
三菱ケミHDはアジアでの旺盛な液晶テレビの需要に支えられ、関連部材の販売が伸びている。下期の経常利益は41%増える見通しだ。
株価が割安なのは「日本の化学会社は規模の面で欧米に見劣りするため」(りそな銀行の戸田浩司チーフ・ファンド・マネージャー)。ただ「各社の業績は事前の想定を大きく超え、株価は水準訂正に向かう」(国内投資顧問)との見方もある。
株式市場では、先進国の金融緩和による資金流入が期待されている。「投資家のリスク許容度が増せば、業績好調で割安な銘柄が見直される地合いになる」(ちばぎんアセットマネジメントの奥村義弘調査部長)との指摘があった。
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