国債売買益が膨らむ、通期見通しは慎重
- 2010/11/13付
- 日本経済新聞 朝刊
三井住友フィナンシャルグループ(FG)とみずほFGの2メガバンクは12日、2010年4~9月期決算を発表した。三井住友の連結純利益は前年同期比3.4倍の4174億円と過去最高。みずほも同3.9倍の3417億円と過去2番目の高水準だった。企業倒産が減り、不良債権処理損失が少なかったほか、金利低下で国債売買益が膨らんだ。ただ銀行を取り巻く経営環境は厳しく、通期見通しの上方修正には慎重さが目立つ。
4~9月期は中小企業金融円滑化法の影響などで企業倒産が減少したため、不良債権に絡む損失が前年同期と比べて大幅に減り、業績の押し上げ要因となった。三井住友銀行は貸倒引当金などの不良債権処理損失が前年同期比で1100億円以上減り、433億円にとどまった。みずほでは取引先企業の業績が改善したことなどから、不要になった引当金が利益として戻ってきたため、傘下3行合算で252億円の戻り益を計上した。
この4~9月は長期金利が一時1%を割るなど金利が低下し、保有国債の価格が上昇。これに伴い三井住友では国債などの売買益が3.9倍の1511億円に膨らんだ。みずほは7.7倍の1262億円を計上した。
この結果、本業のもうけを示す実質業務純益(傘下銀行ベース)は三井住友が31%増の4932億円。みずほは3行合算で32%増の4451億円となった。
4~9月期の純利益が5月時点の当初予想を大幅に上回ったのを踏まえ、11年3月期通期予想も三井住友は5400億円(当初予想は3400億円)、みずほは5000億円(同4300億円)にそれぞれ引き上げた。ただ4~9月期の利益水準は通期予想に対して、三井住友が77%、みずほは68%に達しており、「上半期に比べて下半期の業績はかなり慎重にみている」(みずほFGの塚本隆史社長)。業績上方修正にもかかわらず、配当の増額は見送った。
景気の減速懸念や親密ノンバンクの苦戦など収益環境の悪化に加えて、大幅に厳しくなる新自己資本比率規制への対応が控えており、内部留保の積み増しを優先する構えだ。
0 件のコメント:
コメントを投稿